主人公になりたくて

別に私、大切な人を大切にして生きていきたいだけなんだけどな。

依存するな、自分で考えろ。そうやって、生きてきただろう。

使命とか生きる意味とか。

私、主人公に、なりたいんだ。

特別な物語の。

いつも頭の中を過ぎる言葉は、小説調。

そして、自嘲気味。

保育園の年中さんの時、みんなでそのとき流行っていたアニメでごっこ遊びをした。

大好きな赤髪の主人公。

大好きだったから、立候補した。

そしたら、主人公っぽくないよ。

そう言われて幼心に傷ついて、まさか20代後半になってまで、そんなことを覚えていて、主人公っぽくないよなぁって気にしてるなんて、本当に笑える。

でもそれくらい、自分の中で大きな出来事だった。

社会がどう回ってるとか、そんなことより、ずっとずっと大切で大問題だったんだ。

思い出して、涙が出た。

みんなもそうでしょう。

自分が特別って思いたいでしょう。

そうやって、愛する人を求めるんでしょう。

わかりやすく特殊能力があって

神様に選ばれた特別な人間だって

そう、思いたいでしょう。